学生ローンだけでなく貸金業界全般に言える事だが、貸金業者が潤う時期、必ず背後にネットワークビジネスや心理学セミナー等、社会通念上に問題を抱える案件が跋扈している。
実はマルチ商法は何十年も前からあり、扱う商材や手口を変え、実態そのものは昔となんら変わりはないのである。
いつの時代も普遍的で、それなのにいつも騙されてしまう人たちが後を絶たない。
振り込め詐欺もしかり、これだけテレビや新聞、雑誌やネットなどで報じられながら、それでも騙されてしまう人たちがいる。
もちろん、こうした人たちを批判するわけでもないし、悪いのは明らかに詐欺師連中であることは言うまでもない。
しかし、現に騙されてしまう人たちが大勢いることも事実だし、なんとかこうのような弱者たちを救済する手立てを取らなければならないのも事実である。
今から20年ほど前、心理学のセミナーが学生たちの間で流行り、その費用を学生ローンで賄う者達が大勢現れた。
彼らは、そのセミナーに人を紹介すると、バックマージンが貰える仕組みである。
表面上は心理学セミナーだが、実態は紹介料ほしさのマルチ商法と同じだ。
中には本当にセミナーを崇拝する者もいたのだろうが、それはそれで危険な匂いを感じるものだ。
以前、ある宗教団体の信者たちが学生ローンで金を借り、返済に応じないという事案が多発した。
彼らの教えに借りたものは返すという基本は教えていないようだった。
こういう事を書くと宗教差別と批判されそうだが、中には危険なカルト教団がある事を忘れてはならない。
マルチ商法は様々な形で警告が発せられている。
学生ローンも例外なくポスターやホームページ上で注意喚起を促している。
しかし彼らはそうした声には一切耳を貸さず、騙された事に気づくまでは、ある意味カルト教団の信者がごとく、己の過ちを認めようとはしない。
マルチ商法にせよ、カルト教団にせよ、人の心理をマインドコントロールするという意味では共通する部分がある。
こうした心の病に侵されている間は、いくら注意喚起をしようがダメなものはダメなのである。
なぜ、いつの時代もマルチ商法などがなくならないのか?
答えは簡単だ。
楽をして儲けたい、仲間と一体感になって一つの目的に向かうという充実感、そこに欲望と夢を見てしまうのだ。
社会経験の少ない、学生特有の心の病なのかもしれない。